食品業界におけるDX推進の一助となるRPA-成功事例も紹介

ITやAIなどテクノロジーの急速な発展や社会環境の変化などにより、さまざまな業界でDXへの取り組みが必須となりました。当然食品業界でもDXが必要とされていますが、実際どれほど進んでいるのでしょうか。本稿では食品業界におけるDXの現状や必要性を踏まえ、特に受注業務においてDX推進の一助となるツール、RPAについて紹介します。

食品業界におけるDXの現状と必要性

総務省の「令和3年版情報通信白書」によると、日本の企業における「デジタル・トランスフォーメーションの取組状況」についての回答では、「実施していない、今後も予定なし」が59.3%と、6割近くにもなっています。

業種別をみると、「食品業界」に関係すると思われる「農業、林業」「漁業」「製造業」「卸売業、小売業」の数字は、順に、50.0%、75.0%、57.2%、57.9%。

他の企業と同程度に、あまり進んでいないといえそうです。

参考:総務省|令和3年版 情報通信白書|我が国におけるデジタル化の取組状況

具体的な状況については、「食品業界におけるDXの現状は?DXで解決したい課題や成功事例も紹介」でご覧ください。

食品業界においては、仕入れ先や取引先とのやり取りにおいてデジタル化が進んでおらず、今でもFAXによる受発注を続けているところも少なくないようです。FAXでの受発注には、下記のように多くの課題があり、効率的とは言えません。

  • 検索性が低く、処理に時間がかかる
  • 人的ミスが起こりやすい
  • 手間と時間がかかるため人的コストがかかる
  • 紙やインク代などのコストが発生する

DX推進により業務効率化を図ることで、それらの課題を解決することができます。また、食品業界におけるDX推進は、在庫適正化によるフードロス削減や生産性の向上、品質管理による競争力強化など、多くのメリットがあります。

食品業界を取り巻く環境も、消費者ニーズの多様化や市場のグローバル化などにより市場競争が激化しています。そのような中で企業が生き残っていくためにも、DX推進は必須といえます。

受発注業務におけるRPAの役割と効果

食品業界におけるDX推進の中で、効果的な取り組みの一つが、受発注業務におけるRPA(Robotic Process Automation)の活用です。RPAとはPCで行う定型的な作業をソフトウェアロボットで自動化する技術やシステムのことを指します。

受発注業務にRPAを導入することで、必要情報の入力や更新、集計などの自動化が実現し、次のようにさまざまな効果が期待できます。

RPAがDX推進にどのように役立つのかは、「DX推進に大きく貢献するRPA―導入メリットや注意点・事例まで」で紹介しています。ぜひご覧ください。

受発注処理の効率化と精度向上

人の手による処理の場合、その人の経験やスキルにより精度にバラつきが生じます。また、同じ人が処理するとしても、体調や業務の忙しさなど、その時の状況に左右され、精度は一定ではありません。しかし、RPAにより受発注処理を自動化することで、常に高い精度を保ったまま短時間で処理できるようになり、大幅な業務効率化が実現します。さらに、限られた人手でも業務を遂行できるようになるため、人手不足の対応策にもなります。

エラー削減と顧客満足度の向上

人の手による作業で生じる問題は精度のバラつきだけではなく、ヒューマンエラーもあります。ヒューマンエラーにより商品・サービスに問題が生じれば、自社内の問題で終わらず顧客に被害を与える可能性があります。RPAにより人の手に頼らず自動処理することで、ヒューマンエラーの削減が可能です。それにより商品・サービスの品質を保つことができれば、顧客満足度の向上にもつながりやすくなります。

食品業界におけるRPAの成功事例

実際にRPAを導入したことで成功した食品業界の事例を2ケース紹介します。

株式会社廣記商行 WebEDIの自動化による受注業務効率化

中国料理食材の専門商社として全国の顧客と取引する中で、Webを利用した発注が増加していました。複数のWebサイトを利用していることから、それぞれのサイトで顧客からの発注データをダウンロードする必要がありました。この発注データのダウンロードを手作業で実施しており、この処理だけで2~3時間ほど消費していたのです。

この処理に時間がかかることで、後工程にある出荷作業、積み込みが遅れ、当然出発も遅くなっていました。同社では顧客訪問時に営業活動をしていましたが、出発の遅れにより配送で手一杯になってしまい、十分な営業活動の時間が確保できなくなっていたことも大きな問題でした。

そこでRPAを導入。受注業務全体の40~50%を占めるWeb受注取込作業の90%を自動化させることに成功し、夜勤の負担を軽減することに成功しました。顧客への営業活動の時間も確保もしやすくなり、営業の効果も見込めます。また、受注業務の効率化や営業活動の充実は、顧客満足度向上にもつながるでしょう。

株式会社廣記商行様

株式会社フランソア RPA導入による処理方法の変更によるエラー削減

九州で有名なパン製造会社であり、顧客は商品を販売する直営店やスーパーなどです。顧客ごとにシステムが異なるWebEDIでの注文処理業務が使われており、それぞれで受注・出荷・受領と3つの手による操作が必要でした。多くの顧客がいることから、このままでは担当者の負担が重くなると考え、RPAを導入するようにしたのです。

最初はフリーソフトを使うことで自動処理を実現し、WebEDIに関連するさまざまな業務が自動化しました。ただし、フリーソフトであることからプログラム知識を持った自社担当者が管理・運営する必要があり、担当者の大きな負担が、また新たな課題となっていました。エラーが起きた際も自社内で対応する必要がありましたが、知識を持った人材が限られており、オペレーションを止めて手作業で処理することもあったといいます。

受発注業務はビジネスの根幹をなす重要な業務フローで、そこでトラブルが生じ対応に遅れが生じれば、顧客からの信頼をなくす恐れがあります。そこで有償のRPAを導入し、業務を引き継がせました。

フリーソフトを使用していた時に比べてトラブルが減少し、エラー件数を大幅に削減することに成功。円滑な対応は顧客からの評価となり、顧客満足度の向上へとつながることも期待できます。

株式会社フランソア 様

食品業界のDX推進まずは、RPAによる受発注業務の自動化から

食品業界のDX推進は、日本においては、他業界同様進んでいるとはいえません。DX推進が必要であることは理解しているものの、どこから手を付ければいいかわからないといった企業もあるかもしれません。

まだ、仕入先や取引先とのやり取りとりをFAXに頼っている場合は、まずは、RPAによる受発注業務の自動化から、手を付けてはいかがでしょうか。受発注業務は食品業界では大きな作業割合を占めており、その効率化は、社内全体の業務効率化にもつながることが期待できます。

受発注業務の効率化やRPA導入を検討されているなら、ぜひユーザックシステムにご相談ください。これまで蓄積したノウハウをもとに、RPA導入やDX推進をサポートします。

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